インドネシア・ジャカルタの高速鉄道 (MRT)

2019年4月1日にインドネシアの首都ジャカルタを運行する初めての市内を走る高速鉄道(MRT)が開通しました。MRTとはMass Rapid Transitの略で大量高速輸送のことを指します。MRTは日本の円借款のプロジェクトで、総供与金額は1,250億円とされており、基本設計、建設工事、車両や改札などのシステムまで、全面的に日本の技術が導入されています。中央ジャカルタと南ジャカルタを結ぶ全長15.7kmの一部区間は地下鉄になっていて、ジャカルタの交通渋滞を緩和するとして期待されています。

そんなジャカルタのMRTについてご紹介したいと思います。

開発の背景

ジャカルタ都市圏人口は東京都市圏に次いで世界2位。また、バンコクやマニラと同様に急速な経済成長、高人口密度、都市内貧困層の存在など、東アジアの大都市に共通する特徴を持つ都市であり、自動車による交通渋滞が世界一酷いと評され、交通事故、大気汚染をもたらし、大きな社会問題となっています。

データ:Demographia 調べ

交通渋滞や大気汚染をもたらす膨大な交通量をさばくには都市部の道路面積が小さすぎるため(ジャカルタ 7.3%、東京 18.4%)、交通容量増加のための交差点の立体交差化、80年代には有料高速道路の建設が盛んに行われていました。

公共の乗り物に関しても色々な取組がされています。ジャカルタ・コタ駅を中心に環状と放射状の6線路、約230kmの鉄道網からなる「JABODETABEK鉄道」が整備され、国際協力の一環で近代化整備プロジェクトに日本も長年協力してきました。しかし、「JABODETABEK鉄道」はオランダ統治時代からの既存の鉄道網をベースにしているので、肝心の都心部をカバーしきれておらず、都心に入るにはバスに乗り継ぐなどの手段が必要となっています。その結果、ジャカルタ首都圏での鉄道の利用率はわずか2%程度と非常に低く、さらに2000年代に入って増え続けた鉄道利用者も2009年くらいから減少しています。

ジャカルタのような巨大都市では、どうしても高速運転で輸送量が大きい輸送機関が必要とされました。MRT (Mass Rapid Transit) の必要性は1980年代から議論され続けておりましたが、2005年ようやく国家プロジェクトとして位置付けられ、2015年に公表された年平均7%の経済成長を目標とする政府の「国家中期開発計画(RPJMN)2015-2019」では、MRTの整備に高い優先順位が置かれました。

路線図・料金・時刻表

路線図

現在、南ジャカルタのLebak Bulus駅から中央ジャカルタのBunderan HI駅まで13駅(15.7km)を走っています。

MRTの建設は3フェーズに分けられており、今運行しているのはフェーズ1、フェーズ2AはBunderan HIから北のKotaまで、そして2BはKotaからAcolを通ってDepoまで建設予定です。Bunderan HIからSarinahの区間は2024年開業予定とされています。

料金

MRTの料金は移動する駅の数に応じて1,000ルピアずつ加算されています。ひと駅の最短移動で3,000ルピア、Lebak Bulus駅からBunderan HIまでの最長移動で14,000ルピアかかります。日本円に換算すると20円~120円で乗れます。多くの人に利用してもらう目的から運賃が抑えられている印象です。

時刻表

 

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こちらが時刻表になります。上り下り共に10分おきに電車がきます。

インドネシアではSNSの利用率が非常に高く、MRTの公式Instagramアカウントも積極的に情報発信をしていますのでぜひチェックしてみてください。

MRT運行後の変化

実際にジャカルタに住んでいて、MRTが出来て感じた変化はジャカルタの目抜き通り(スディルマン、タムリン通り)の歩道を歩く人が増えました。MRTの開通に伴い、歩道の整備も整備されたおかげでもあります。今まで、ランチに道路向かいにあるレストランに行くのに車でわざわざ回っていたところ、MRTが出来て駅を通って行けるようになりました。

オフィスが集積するジャカルタの目抜き通りの歩道は前までガタガタで穴だらけでした。道路の横断も命がけで、歩道橋はトランスジャカルタ(専用レーンを走るバス)の停留所に繋がっているのを利用していましたが、その作りも崩落しちゃうんじゃないかと心配なものでした。

今まで街が歩きにくいから歩かない、歩かないから整備されない、整備されないから歩きにくい。と言う負のスパイラルからMRTの開業によって歩道も整備され歩けるようになったと思います。

 

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