初めまして、Japanect Inc. の松浦です。今回は私自身の初コラム。
インドネシアで働く日本人と会話をしていると「今日インドネシア人メンバーが○○でこんなことしてしまって。。」と最近のメンバー談を話すことがよくあります。ネガティブなもののほとんどが本日のコラムのタイトルにもある”合意のない期待”が原因になっていることが多く今回コラムで取り上げることにしました。
本日は、インドネシアでの組織運営をより円滑に進める魔法の言葉 ”合意のない期待” をご紹介します。
合意のない期待とは・知ったきっかけ
言葉の通り、お互いに合意されていない期待です。私が ”合意のない期待” を知ったのは前職で導入していたすごい会議という会議のコンサルティングからです。前職の立ち上げでインドネシアに赴任した時にはこの言葉を知っていたため、比較的楽にインドネシア人メンバーとの仕事のやりとりができ、無駄な怒りや悲しみを生まなくて済んだと感じています。
会議が変わる。会社が変わる。私たちはその変化のきっかけをもたらします。すごい会議 を通して、劇的な変化を全ての企業に。
下記が合意のない期待が起きている例です。
合意のない期待が起きている例
私自身も上司としてやってしまった経験も、上司からそのような指示をされたこともあります。
人間の怒りや悲しみの90%以上は、合意のない期待から生まれる
上記のようにお互いに怒りや悲しみが生まれます。一説によると人間の怒りや悲しみの90%以上はこうした、合意のない期待によるものだそうです。
解釈が含まれる表現
今回の例での怒りや悲しみの原因は?
上記からも分かる通り、”解釈が含まれる表現” が根本原因です。
今日中という言葉一つでも
– 今日退社するまで
-今日の定時まで
-今日の23:59 等 無限に解釈が生まれる余地があります。
結果として、それぞれが別の解釈で物事を考えたため、怒りや悲しみが生まれたのです。
言われてみれば単純なことだが、日々繰り返してしまっているやりとりではないでしょうか?
合意のない期待が起きている例 ②
言葉の出所が一緒かどうか定かではないが別記事でさくらインターネットの田中社長が良くある例を挙げてたのでこちらも共有します。
一つの例ですが、上司が部下に対して、これくらいやってくれて当然だろうと思っていることでも、それが部下に伝わっていなくて、結局部下はそれをやってなくて、「なんでやらないんだ」と上司は部下を叱責したりしてしまうことがあると思います。
でも部下は「なんだよ。自分のやることじゃないだろう」と思って、結局上司も部下も2人とも腹を立てているという状況は、まぁよくありそうなシチュエーションです。
逆に、部下が上司に対して、これをすれば良いんじゃないか?と思って、それをやったとしても、でも上司が別に望んでいない場合には、上司は褒めてくれず、部下が寂しい気持ちになることもあります。
おまけに、上司が「別にそれは今やらなくてもいいだろ!」とか言っちゃったりして、部下のモチベーションはダダ下がりになることもあるでしょう。ここで重要だなと思うのは、良いこと、悪いこと、やってほしいこと、やって欲しくないことなどの期待を、事前に合意しておかないといけないなということです。
上司から部下へ「言わなくてもわかるだろ」とか、部下から上司へ「どうせ言っても無駄」って話は典型例ですし、ちゃん事前に合意することの重要性を痛感します。
インドネシア人メンバーとの間で起こる合意のない期待
上記の例のように日本人間でも頻繁に起こる合意のない期待。これが育った環境も、文化も違うインドネシア人との仕事になるとより一層頻発すると容易に想像できると思います。日本特有の空気を読むという言葉があるように日本人は解釈を含む表現が好きです。行間や間を読む、察する力というは日本人が得意とするスキルの一つ。しかしこちらをインドネシア人に求めてしまうと私の経験上上手くいかないと感じてます。
弊社で行っている取り組み
弊社でも完璧にできているわけではないですが簡単に弊社で行っている合意のない期待を防ぐための取り組みを紹介します。
解釈を含む表現をしない、成果指数を活用する
期日であれば明確に分単位まで表現する。またタスクの指示でどうしても解釈が含まれるものに関しては成果指数という言葉を活用し、解釈による認識の違いを防いでいます。
成果指数(社内ではメジャーメント):その行動(タスク)を実行したことによって得たいものはなんなのか。
例)訪問アポイントを5社取得してください。
成果指数はそのアポイント先から Rp. 50,000,000 の粗利益を上げること。
→ 訪問アポイントの取得の指示だけだと取得したアポイント先で合意のない期待が起きる可能性があります。それを防ぐために成果指数でこのアポイントによって得たいものを明確にします。
自己責任100%に合意する
依頼する側はもちろんのこと、依頼される側にも合意のない期待を防ぐための責任があるということを明確にすることです。依頼される側も依頼内容を承諾するとしたら、その依頼のアプトプットへの責任があると考えるべきです。責任があると認識すれば、自然と期限や成果指数を知る必要が出てきます。どちらか一方ではなくお互いに責任があることを認識することが大事だと考えてます。
2割報告を徹底してもらう
とはいうものの、全ての仕事において解釈を無くすことは、時間の制約などの影響によって難しい時があります。忙しく明確な指示をする時間が取れない、けども仕事を進めて欲しい。という状況はよくあります。その時に大事なのが日本の社会人なら一度は聞いたことがある2割報告です。大まかな仕事のアウトラインが決まった段階で一度報告して確認を取る。これさえやっていれば、余程のことがない限り大きく外れることはないと考えています。
決まり事を明文化する
会社運営をしていると社内ルール等で合意していたことが悪気がなくちょっとずつ変化していくことがあります。その時に記憶だけの合意をしていると、気づけばお互いに全然認識が違っていた!なんて事が起きます。それを防ぐために業務に関する手順やルールを明文化することをオススメします。弊社では社内イントラツールを活用して社長の認識や上司の認識ではなく、社内イントラに記載されていることが正しいとしています。
おわりに
以上、本日のコラム 『組織における怒りや悲しみ” の90%以上は “合意のない期待” から生まれる。』でした。ここまでいっておいて本末転倒な気もしますが私自身は上記の考えや取り組みをしながらも下記のような組織に憧れを持っていたりします。
『よろしく頼むよ』っていう一言の中には何十、何百という指示が包含されてるわけよ。“納期より早く見たい”とか“相手に不快な思いをさせないで”とか“本当にきつかったら頼れよ”とか。それらをいちいち言語化しろっていう風潮もあるけど、この一言で通じ合う関係性、組織を作らなきゃという視点も大事。
— 三浦崇宏 GO (@TAKAHIRO3IURA) November 30, 2018
その方がよりスピード感持って仕事ができると思うからです。それも大前提は働く人に怒りや悲しみが生まれないこと。入社年次が浅い社員には合意のない期待が生まれないように意識し、入社してから年数が経ちお互いの理解が深まった社員とはお互いの理解が一致する解釈を含む表現でも会話する等使い分けてもいいかも知れません。メンバーとのコミュニケーションが上手くいかない。そんな時は ”合意のない期待” 思い出してみてはいかがでしょうか。