みなさん、こんにちは!
今回はインドネシア進出を検討する際に知っておかなけばならない、外資規制業種「ネガティブリスト」についてお話します。
「ネガティブリスト」とは?
ネガティブリストとは外資企業がインドネシアにおいてが企業進出・投資活動するに当たり、「規制される事業分野のリスト」のことを指します。予定する業種が規制対象に該当していないか、該当する場合にはどのような規制の対象となるかを確認する必要があります。
禁止業種は、国防産業、賭博、遺跡、大麻栽培、酒類製造、珊瑚の採取など(2007年新投資法、大統領規程2016年44号)。
規制業種(ネガティブリスト形式でローカル企業との合弁義務等を設定)は、卸売、小売、物流、サービスなど(大統領規程2016年44号)。
禁止業種
- 国防産業(武器、弾薬、爆発物、戦争用機材の生産等)への外国資本による投資。
- 賭博・カジノ、歴史・古代遺跡、大麻栽培、酒類製造、産後の採取、陸上旅客ターミナルの実施・運営、農薬の有効成分材料産業など、外国・国内資本ともに投資を禁止。
- 中小・零細企業、協同組合のために留保される業種への外国資本の参入を禁止。
小規模農園(農産物により規定されている)、大豆を使った食品産業、ラタン等を用いた編物産業、工事金額が500億ルピア以下等の建設実施、工事金額が100億ルピア未満等の建設コンサルティングサービス、など。 - 特定の業種を内資100%に限定。
石油ガス採掘・供給等の一部サービス、1MW以下の発電、デパート、スーパーマーケット、ミニマーケット以外の小売、レンタル(輸送機、建機、農機など)、美容室・床屋、など
規制業種
外国資本による投資を規制する業種のリスト(2016年ネガティブリスト)。
規制内容は次のように分類されております。
- 中小・零細企業、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野
森林事業、稚魚生産、魚の養殖、一部の水産加工、水産物の販売、タバコ加工、石灰産業、通信販売・インターネットを用いた小売業、など。 - 外資比率が制限される分野(ローカル企業との合弁義務)
※特定業種について、ASEAN加盟国からの投資を対象に出資比率を優遇。 - 地域が限定される分野。
- 管轄省庁からの特別許可を要する分野
2016年ネガティブリストに関する質問と回答は、BKPMに設置されている国際協力機構(JICA)投資促進政策アドバイザーオフィスのウェブサイトで確認できます。
出資比率
禁止業種を除き、外資による出資が可能ですが、ネガティブリスト方式で業種ごとに外資出資比率の上限を定めています。
- 製造業:原則、外国資本100%の出資が可能(医療機器など一部分野除く)。
- 卸売業:外資上限67%
- 小売業:外資はデパート、スーパーマーケット、ミニマーケット(コンビニエンスストア)のみ出資可能で、ネガティブリストにて店舗面積の下限が定められている。
- デパート:売り場面積が400平方メートル未満の場合、外資不可、400~2,000平方メートルの場合、外資上限67%、2,000平方メートル超の場合、外資100%可。
- スーパーマーケット:売り場面積が1,200平方メートル未満の場合、外資不可。1,200平方メートル以上の場合、外資100%可。
- ミニマーケット:売り場面積が400平方メートル未満の場合、外資不可。400平方メートル以上の場合、外資100%可。
- 流通業:陸上輸送は外資上限49%、海上輸送は外資上限49%、倉庫業は外資上限67%(ただし、コールドストレージは外資100%可)。
- 外食(レストラン):外資100%可。
- ホテル:3つ星以上の場合、外資100%可。2つ星以下の場合、外資上限67%。
- 病院:外資上限67%。
- 人材派遣(インドネシア人労働者に対する海外の職業斡旋):外資不可。
- 職業訓練:外資上限67%。
資本金に関する規制
外国資本の場合、製造業・非製造業の区別なく、払込資本金25億ルピア以上。
さらに、土地建物を除く投資額(資本金含む)の合計が100億ルピア以上。
外国投資(外国法人・個人による投資)
製造業・非製造業の区別なく、土地建物を除く投資額の合計が100億ルピア、引受資本金と払込資本金は同額で、25億ルピア以上を満たす必要がある。また、各株主の出資金額は、1,000万ルピア以上。〔投資許認可の指針と手順に関する投資調整庁長官規定(2018年第6号)の第6条2項、3項、4項〕
国内投資(インドネシア内国法人・個人による投資)
最低授権資本金額は会社創設者間の合意に基づき決定、最低引受資本金額および最低払込資本金額は授権資本金額の25%。〔2016年7月14日付政令2016年第29号〕
最後に、最近インドネシアの国会ではインドネシアの雇用創出のために「オムニバス法」の草案が話し合われています。この法案が可決されれば、今あるネガティブリストも変更されるかもしれませんので引き続き注視する必要があります。「オムニバス法」とは何か気になる方はこちらからご覧になれます。
いかがでしたでしょうか?インドネシアに進出や投資をするにあたり上記に述べたような規制の他にも業種によっては更に細かい規制などがございます。
ご検討なされている方で疑問や相談ございましたら、お気軽にこちらまでお問い合わせください。